コインパーキング経営とは?
駐車場経営は、アパートやマンションなどの賃貸住宅経営に比べて初心者でも始めやすく、初期費用が抑えられる土地の活用方法です。また、駐車場経営をやめてほかの土地活用を行ったり、売却を行ったりしやすいというメリットもあります。これは、アパートやマンションといった建物の解体が必要なく、転用・売却時の準備日数や費用を抑えられるためです。
駐車場経営には、大きく分けて「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類の方法があります。月極駐車場は、特定の契約者を対象とし、1ヵ月単位で賃貸契約を結ぶ駐車場です。一方でコインパーキングは、不特定多数の利用者を対象とする時間貸し駐車場を指します。
コインパーキング経営を始めるにあたっては、精算機や照明、ロック板などの設備が必要となるため、月極駐車場に比べ初期費用が多くかかる傾向にあります。ただし、駐車場管理会社に管理を任せれば初期費用を抑えられるのに加え、稼働率を高く維持できれば、月極駐車場経営よりも大きな収益を上げられることもあります。
しかしコインパーキング経営にも、事前の調査が不十分だったため失敗してしまうケースがあります。そこで今回は、いくつかの失敗例とその原因・対策と併せて、コインパーキング経営を成功させるポイントを解説します。
●「コインパーキング経営の失敗」に関する
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コインパーキング経営の失敗例
コインパーキング経営にはさまざまな失敗例があります。まずは、どのようなケースがあるのか見ていきましょう。
料金設定が高過ぎた
高過ぎる料金設定をしてしまうと、利用者が確保できず、空車の状態が続いてしまう可能性があります。空車率が高く収益が十分に得られない状態では、経費の負担が重くなり、経営赤字に陥る恐れがあるため、料金設定は非常に重要です。
料金は、周辺のコインパーキングとよく比較して設定する必要があります。周辺地域の相場よりも明らかに高い価格設定としてしまうと、利用者を多く確保することは難しくなってしまうでしょう。
料金設定において、気を配るべきポイントはいくつかあります。時間あたりの料金に加え、1日の最大料金となる「上限料金」にも意識を向けてみましょう。特に長時間駐車することの多いサラリーマンや工事関係者は、上限料金を重視している場合があります。経営するコインパーキングが普段どのような人に利用されているのかを把握したうえで、料金を設定しましょう。
近隣に競合が出現した
周辺により条件のよいコインパーキングができてしまい、利用者が減ってしまうケースもあります。
値下げをして利用者を集めるという対策もありますが、結果的に収益が減少してしまい、予定していた資金計画から外れてしまうかもしれません。そのため、基本料金の値下げのみで対処するのではなく、上記でもお伝えした上限料金や夜間時の料金を変えるといった工夫も併せて検討するようにしましょう。
需要が低い場所で始めた
コインパーキング経営する場所が需要の低いエリアだった場合は、十分な収益が得られない可能性もあります。車を使うことの少ない学生が多い場所や、商業施設・飲食店などが極端に少ない場所は需要が低い傾向にあるため、コインパーキング経営を行う場合は注意が必要です。また、電車やバスなどの交通機関が充実している場所は、車を使う人が少ないこともあり得るため、需要が低くなる場合があります。コインパーキング経営を行ううえで、その立地に駐車場の需要があるかを見極めることは、経営を成功させるポイントの1つとなります。
税金を想定せずに始めた
税金についての理解が不十分で、「経営を始めてみると税金の負担が想定よりもはるかに多かった」といった事態に陥らないように注意しましょう。コインパーキングをはじめとする駐車場経営は、初期費用が少なく手軽に始められるというメリットがありますが、毎年発生する固定資産税・都市計画税の土地部分の負担は、賃貸住宅経営よりも大きくなるということを念頭に置く必要があります。
アパートやマンションなどの居住用物件が建っている土地は「住宅用地」とされ、固定資産税が減額されます。逆にいえば、居住用の物件が建っていないコインパーキングは、住宅用地でないため軽減措置の対象とならないのです。しかし、条件を満たせば固定資産税が減額されることがあったり、確定申告の方法を工夫すれば所得税の金額を抑えられたりするため、経営を始める前に税金に関する知識を身に付けておくとよいでしょう。
パーキング内でトラブルが発生した
コインパーキングの中で起きたトラブルにより、余計な出費が発生することもあります。主なトラブルとしては、パーキング内での事故や放置駐車車両、無賃駐車などが挙げられます。たとえば、駐車する際にロック板が上がったままの状態で車を傷つけてしまったといった機械の設置状況が原因で起きた事故の場合、管理責任を問われる恐れがあるため注意が必要です。
また、放置駐車車両や無賃駐車がある場合は、ほかの利用者が駐車できなくなり、収益が減ってしまうこともあるため、監視カメラを設置するといった対策を取るとよい でしょう。
撤退に費用がかかった
駐車場経営をやめて、賃貸住宅経営といったほかの土地活用を新しく始めたい場合や、土地の売却を行いたい場合に費用が発生することを見越しておきましょう。具体的には、機器類や看板、舗装の撤去などに費用がかかるため、あらかじめこれらのコストを見込んで資金計画を立てることをおすすめします。
駐車場管理会社に管理を依頼している場合は、撤去費用の負担方法はさまざまです。オーナー負担や管理会社負担、またはオーナーと管理会社が両方負担するといったように、会社や契約内容によって取り決めが異なるため、確認しておきましょう。
なお、三井のリパークでは、駐車場機器の撤去費用を負担しています。コインパーキング経営を検討中の方はぜひ三井のリパークまでご相談ください。※1
コインパーキング経営の失敗要因
ここまでさまざまなコインパーキング経営の失敗事例をお伝えしてきました。コインパーキング経営で起こり得る失敗の要因と対策について、事前に行う「調査」と「計画」という2つの観点から見ていきましょう。
調査が不十分
コインパーキング経営を始める前に、需要と周辺環境の綿密な調査が必要です。立地的に需要が低いと失敗に陥りやすいのは、先にお伝えした通りです。例として、電車やバスなどの交通機関が充実していて、車を利用する人が極端に少ない土地柄であれば、コインパーキングを経営しても利用者が集まりにくいといえるでしょう。
また、周辺に競合がいるかどうかの調査も重要です。立地にコインパーキングの需要があったとしても、競合の駐車場が多い場合には、十分な利用者を獲得できないことも考えられます。競合の多い地域でコインパーキング経営を始めたいのであれば、競合駐車場の料金設定をしっかりと確認しておくとよいでしょう。ほかに比べて料金が高いと、利用者がなかなか集まらない恐れがあるため、料金設定を工夫する必要があります。
計画が不十分
資金計画が不十分だったことにより、コインパーキング経営の失敗につながる恐れがあります。経営で得られる利益を考え、初期費用としてかかった資金をどのタイミングで回収できるか把握しておくことが重要です。この際に、管理費やメンテナンス費といったランニングコストも含めて考えておくとよいでしょう。
競合が多い場合には、価格競争になる場合もあります。利用者を確保するために、価格を下げて対応するケースも想定しておくとよいでしょう。ただし、価格を下げると利用者は増える傾向にあるものの、利益を大きく犠牲にすることがないよう注意が必要です。
また固定資産税・都市計画税の負担額が多いと、想定していた利益が得られない場合もあります。先述しましたが、駐車場経営は初期費用がかかりにくい一方で、固定資産税・都市計画税の負担が大きくなるという注意点があります。事前に固定資産税がどれくらいかかるのか計算しておくとよいでしょう。
コインパーキング経営を成功させるには?
ここまでお伝えした失敗の事例を知り、コインパーキング経営に不安を感じた方もいるのではないでしょうか?冒頭でもお伝えしたように、コインパーキング経営は初心者でも始めやすい土地活用の1つです。成功させるポイントを押さえておくことで、十分な利益を得ることができます。ここからは、コインパーキング経営を成功させるポイントをお伝えします。
自分に合った経営方法を選ぶ
コインパーキング経営の方法は、主に「自主管理方式」「管理委託方式」「一括借り上げ方式」の3つがあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
自主管理方式
自主管理方式とは、全て自分で駐車場の管理を行う方式です。料金設定や利用者の募集、看板や機器の設置なども自分で行う必要があります。管理業務を管理会社に依頼しないため、手数料がかからず、駐車場経営で得られた収益の全てを自分の収入にできる点がメリットとして挙げられます。
ただし、管理に手間がかかることから、時間が確保できる人におすすめです。また、管理業務を自分1人で行う必要があるため、トラブル時の対応を身に付けていないと経営が難しく、初心者向きではないといえるでしょう。そのため、自主管理方式はコインパーキング経営についての知識がある人におすすめです。
管理委託方式
管理委託方式とは、駐車場の管理を管理会社に委託する方式です。掃除や巡回といった手間がかかる管理業務も任せられます。しかし業務を任せる代わりに、賃料の一部を手数料として管理会社へ支払う必要があるため、収益がその分減ってしまうという注意点があります。駐車場経営にかかわりつつ、管理業務は管理会社に任せたいという人におすすめです。
一括借り上げ方式
一括借り上げ方式とは、土地を管理会社に貸し出し、賃料を得る方式です。コインパーキング経営で選ばれることが多く、管理や運営は全て管理会社に任せられます。また、収益変動に左右されず、毎月定額の賃料が得られるというメリットがあります。駐車場経営を行い、安定した収入を得たいと考えている人におすすめです。
上記でお伝えしたように、3つの経営方式にはそれぞれが異なる特徴があります。それぞれの特徴を理解し、自分に適した方法を選択することで、コインパーキング経営の成功につながるといえるでしょう。
三井のリパークでも、コインパーキング経営の一括借り上げ方式を採用しています。駐車場経営の初期費用、運営や管理に必要な費用も負担しているため、土地活用の経験がない人にもおすすめです。コインパーキング経営の一括借り上げ方式について知りたい方は、三井のリパークにお問い合わせください。※1
土地活用の目的を整理する
土地を活用するうえで、自分が何を求めているのか整理することは重要です。「リスクを抑えて安定した利益を得たい」、「大きな利益を得たい」などと具体的に考えておくとよいでしょう。コインパーキング経営を行うことで、自分が求めている利益を得られるかを考え、土地活用を進めると経営の成功につながります。
お金の流れを把握する
コインパーキング経営を始める前に、必要となるお金を把握しておきましょう。上述した経営方式の違いによって、かかる諸費用は変わってくるため、しっかりと把握する必要があります。初期費用や管理会社に対して支払う管理費、トラブルがあった際に発生する修繕費など、どれくらいかかるのかを見積もり、資金計画を立てることが大切です。
料金設定についても事前に決めておくとよいでしょう。1ヵ月当たりの収益を計算するには、1時間当たりの料金、1日当たりの稼働時間、駐車できる台数、1ヵ月の日数をかけることで求められます。たとえば「1時間100円、12時間稼働、駐車台数10台」の場合は以下の計算式となります。
・( 100円/時間 × 12時間 × 30日 )× 10台 = 36万円
この計算を行うことで、1ヵ月に見込める最大の収益が分かります。料金設定や稼働時間の設定が難しい場合には、不動産会社に相談するとよいでしょう。コインパーキング経営を行う場所の特徴や利用者のニーズを踏まえてアドバイスをもらうことができます。
料金だけでなく、利回りの計算もしておくとよいでしょう。利回りとは、初期投資額に対して見込まれる1年あたりの収益の割合です。利回りを把握しておくことで、初期費用の回収期間の目安も概算できます。たとえば「初期投資額150万円、利回り10%」のケースでは、1年につき初期投資額の10%の純利益を想定しているため、回収期間は以下のように計算できます。
・初期投資の回収期間 [年] = 100% ÷ 10%/年 = 10年
なお、コインパーキング経営を行う土地には固定資産税もかかるため、計算しておくとよいでしょう。駐車場経営にあたっての固定資産税に関しては、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひチェックしてみてください。
駐車場経営会社に相談して土地活用を進めよう!
ここまで、コインパーキング経営の失敗例や成功させるポイントをお伝えしてきました。コインパーキング経営は、失敗のリスクはありますが、ポイントを押さえることで継続的収益を得られる土地の活用方法です。コインパーキング経営を成功させるためには、自分に合った経営方法を選び、お金の流れを把握しておくとよいでしょう。土地活用の経験がなく不安がある方は、管理会社に相談しながら進めることがおすすめです。
三井のリパークでは、駐車場ヵ所数1万6,000ヵ所※2の実績をもとに、駐車場経営のさまざまなサポートを行っています。さらに、一括借り上げ方式を採用し、駐車場の設備費用、管理や運営にかかる費用も負担しているため、初期費用を抑えながら経営が可能です。コインパーキング経営を考えている方はぜひ三井のリパークにお任せください。※1
「コインパーキング経営の失敗」に関するよくある質問
コインパーキング経営についてのよくある質問は以下の通りです。経営が失敗しないようにチェックしておきましょう。
コインパーキング経営の失敗例は?
料金設定を間違えてしまったり、需要が低い場所で経営してしまったりすることで十分な収益が得られない失敗例があります。失敗しないよう、あらかじめコインパーキングの立地や需要の調査が必要です。
コインパーキング経営の失敗要因って?
需要と周辺環境の調査や、資金計画が不十分であると失敗の原因となってしまいます。調査を行ったうえでの料金設定や、どれくらい費用がかかるか計算しておくことが大切です。
コインパーキング経営を成功させるコツは?
コインパーキング経営を成功させるためには、自分に合った経営方式を選ぶことや、諸費用や税金といったお金の流れの把握が必要となります。
※1立地等によってはお受けできない場合もございます。建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
※2 2023年1月末現在。