2023.12.07

コインパーキング経営にかかる消費税は?ほかの主な税金についても解説

コインパーキング経営にかかる税金や、消費税がかかる場合と非課税になる場合など、駐車場経営に役立つ情報をご紹介します。
監修者:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。

コインパーキング経営に消費税はかかる?

コインパーキングとは、駐車した時間分の料金を支払う形式の無人の時間貸し駐車場のことです。利用者にとっては、月極駐車場と違い、定期の契約なしで利用できることがメリットといえるでしょう。一方、経営者にとっては開設まで比較的時間がかからず、利用者との契約書の取り交わしの手間が不要であること、将来的にほかの土地の利用や売却の予定があったとしても転用しやすいことがメリットとして挙げられます。
コインパーキングは、「一括借り上げ方式」で運営されるのが一般的です。一括借り上げ方式とは、土地の所有者が駐車場運営会社に土地を貸し、運営会社から毎月土地の賃料(地代)をもらうという運営手法です。この方式では、駐車場経営自体は運営会社が行うため、駐車場を開設するときに必要な設備の設置費用は運営会社が負担し、運営管理も運営会社が代行します。土地所有者は実質的に土地を貸しているだけなので、専門知識がなくても安心して土地活用することができます。また、土地の所有者は稼働率の程度にかかわらず、安定した収入を得られる※1ことも魅力の1つです。
コインパーキングの経営手法には、一括借り上げ方式のほかにも、開設準備から運営まで土地所有者自身で行う「自主管理方式」、開設まで土地の所有者が行い、駐車場の運営管理業務を専門の運営会社に委託する「管理委託方式」があります。どちらの場合でも、駐車場開設のための土地の整備や必要な設備の導入は土地所有者が行うため、駐車場開設のための設備投資費用や手間がかかります。
初心者でも比較的始めやすいコインパーキング経営ですが、運営上課税される税金について、特に消費税についてよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、コインパーキングによる収入に対して、条件によって消費税がかかる場合と非課税になる場合があります。今回の記事では、コインパーキングの経営で消費税がかからないのはどのようなケースか、消費税以外にかかる税金にはどのようなものがあるかなど、税金に関して押さえておきたい情報をご紹介します。
●コインパーキング経営のメリットやデメリットに関する記事はこちら
コインパーキングの風景

コインパーキング経営で消費税が課税されない場合

コインパーキング経営での収入に消費税がかからないのは、以下の3つのケースです。

土地整備を行わず業者に貸した場合

土地所有者(貸主)が駐車場運営会社に更地の状態で土地を貸し、運営会社が駐車場にするためにコンクリートやアスファルトなどで土地の整備を行うケースでは、土地の賃料(地代)に消費税は課税されません。なぜなら、土地の貸付け自体は消費税を課税する対象にならないためです。
しかし、土地所有者が駐車している車の管理をしている場合や自ら土地を整備し、区画分けやフェンスなどを設置してコインパーキングや月極駐車場として貸し出す場合は、駐車場利用料に消費税が課税されます。つまり、「駐車場にするための土地整備の有無」や「駐車場の管理を誰がしているのか」によって、その利用料といった収入に消費税が課税されるか、非課税になるかが異なるということです。

一括借り上げ方式で土地を貸した場合

土地の所有者がコインパーキングや月極駐車場などを運営する事業者に土地を貸し、自らは運営管理を行わない場合は、一般的な借地扱いとなるため、土地の賃料(地代)に消費税は課税されません。従って、一般的なコインパーキングの一括借り上げ方式で土地活用する場合、消費税の納税義務があるのは、駐車場の運営事業者になります。

課税売上高が1,000万円以下の場合

課税期間の基準期間において課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。この場合、消費税が非課税になるのではなく、受け取った消費税の納税が免除されるということを理解しておきましょう。
ここでいう「課税期間」とは、個人事業者の場合は1月1日から12月31日までの期間を指し、法人の基準期間は事業年度の期間を指します。また、「基準期間」とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことです。従って、新たに開業された法人については、設立1期目、2期目の基準期間はまだ存在しないことになるため、特殊な例を除き、原則として2年間は消費税に関する免税事業者となります。
よって、駐車場を経営する場合も、課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の免税事業者となり、消費税の納税は免除されます。ただし、インボイス制度の登録をした事業者は、課税売上高が1,000万円以下であっても課税事業者となり、消費税を納税する義務がありますのでご注意ください。
税金模型とチェックリスト

コインパーキング経営にかかる消費税以外の主な税金

コインパーキングの経営には、消費税以外にどのような税金がかかってくるのでしょうか?消費税以外にかかる主な税金として、以下の5つが挙げられます。
・固定資産税
・都市計画税
・所得税
・個人事業税
・法人税等
これらの5つの税金について、以下で解説します。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物の不動産や償却資産(駐車場経営の場合は、看板やアスファルト舗装など、経年劣化を伴う設備)の所有者にかかる税金です。固定資産税は、該当する資産の所在する市町村(東京都23区内は都)が課税します。土地、建物、償却資産にかかる固定資産税の標準税率は1.4%とされていますが、市町村は条例で異なる税率を定めることが可能です。
コインパーキングの場合「自主管理方式」と「管理委託方式」では、土地に固定資産税が課税され、駐車場の設備機器や看板なども償却資産として固定資産税の課税対象となります。
標準税率の場合、固定資産税額の求め方は、「土地と償却資産の評価額(課税標準額)×1.4%」です。ただし、土地の課税標準額が30万円未満、償却資産の評価額の合計が150万円未満の場合は課税されません。なお、固定資産税の納税通知書(納付書)は、自治体によって時期は多少異なりますが、4~6月頃に郵送で届きます。
●駐車場経営の固定資産税や計算方法に関する記事はこちら
住宅模型とお金、税金

都市計画税

都市計画税とは、都市整備のために市街化区域内にある土地および家屋に課せられる税金のことです。都市計画税は、都市計画区域を有する市町村が課税する税金で、固定資産税と同様に、該当する資産の所在する市町村(東京都23区内は都)が課税します。
都市計画税の税率は、課税する市町村の条例で決めることができますが、0.3%を超える税率(制限税率)に設定されることはありません。また、土地の課税標準額が30万円未満、建物の課税標準額が20万円未満の場合は課税されないことも併せて覚えておきましょう。なお、都市計画税の納税通知書(納付書)は、自治体によって時期は多少異なりますが、固定資産税と同時に4~6月頃に郵送で届きます。

所得税

所得税は、個人事業主や個人の所得に対してかかる税金のことです。駐車場経営で所得を得た場合も、ほかの所得と合わせて所得税の課税対象となります。
給与所得や事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得、利子所得、配当所得など個人が得た全ての所得が課税対象です。所得税額は、年間の全ての所得から対象となる所得控除をそれぞれ差し引いた課税所得に、所得に応じた税率を適用し算出されます。税率は、所得金額によって異なり、所得が増えるほど税率が上がる仕組み(累進課税)です。

個人事業税

個人事業税は、事業を行う個人に課税されるもので、駐車場経営を個人で行う場合は駐車場という事業による所得が発生するため、個人事業税を納税しなければなりません。個人事業税は、地方税の1つで、都道府県が課税します。税率は、法律で定められた70の業種によって異なり、各業種で3%~5%の設定です。
個人事業税の控除には、「事業主控除」と「繰越控除」があります。事業主控除の控除額は、年間一律290万円となっており、事業所得額が年間290万円以下の場合は課税されません。なお、個人事業税の納付期限は、原則として、毎年8月末日と11月末日の2回です。

法人税等

法人税等とは、一般的に、以下の「法人税(法人所得税)」「法人住民税」「法人事業税」を指します。ここでは、法人税と混同しやすい「地方法人税」と合わせ、それぞれ解説します。
法人税は、企業活動で得た法人の所得に対して課される国税で、法人の所得とは、売り上げを通じて得た収益から事業で支出した経費(損金)を差し引いたものです。法人税の税率は、資本金や法人の種類によって異なりますが、一定の税率が定められています。法人税は、法人の納税義務者や課税される所得の範囲、税額の計算方法などが定められた法人税法にのっとって、課税されます。
法人住民税は、会社(法人)の所在に対して課税される地方税です。道府県民税と市町村民税があり、事務所や事業所が所在する都道府県および市町村がそれぞれ課税し、東京都23区にある法人の場合は、都民税として一括で納めます。法人の資本金等の額や従業者数に応じて定額となる「均等割」、所得から算出された法人税額に応じて課される「法人税割」を合わせたものが法人住民税となります。
法人事業税は、事務所や事業所が所在する都道府県が会社(法人)の所得に対して課税する地方税です。資本金が1億円を超える法人には付加価値額に応じた「付加価値割」、資本金等の額に応じた「資本割」、所得に応じた「所得割」が課され、資本金が1億円以下の法人に対しては「所得割」のみが課されます。
地方法人税は、「地方」という名称が付いていますが、地域間の財政力格差の縮小を図る目的で創設された国税で、地方自治体に納めていた地方税の一部を国に納税することです。地方法人税額は、「法人税額 × 税率(10.3%)」で計算されます。この地方法人税として納められた分の税金を財源に、国は各自治体に「地方交付税」の一部を交付します。
●駐車場経営における税金の節税方法に関する記事はこちら
TAXの積み木の模型とビジネスマン

消費税やそのほかの税について理解し、コインパーキング経営を成功させよう!

ここまでコインパーキングを経営する際、収入にかかる消費税やそのほかの税金について説明してきました。個人で駐車場を経営する場合、確定申告を行う必要がありますが、消費税を含め、税制について理解を深めることで経営者としての経営判断もしやすくなります。
駐車場をはじめ、何らかの事業を経営する場合、売り上げや収益に税金がかかるのは事業を営む以上当然のことです。具体的にどのような税金がかかるのかを事前に理解しておくことで、事業計画をよりしっかりと立てられるため、この記事を参考に知識を深めてくださいね。
特に、初めてコインパーキングの経営を検討している方の場合は、自主管理方式や管理委託方式よりも安定的な収入が見込める一括借り上げ方式がおすすめです。一括借り上げ方式なら、コインパーキングに必要な設備の導入や運営管理を運営会社が行うため、初期投資にかかる費用が不要で、運営の手間もかかりません。専門知識がなくても、プロが運営を行うという点で、駐車場運営による土地活用を成功させる近道であるといえます。
三井のリパークでは、一括借り上げ方式で駐車場の開設から管理運営までの全てを任せることができます※1。また、豊富な実績をもとに的確な土地活用プランの提案や駐車場経営での税金に関する相談も承りますので、ご検討の際、気になる点や不明な点を相談してみてはいかがでしょうか?
※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
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※立地等によってはお受けできない場合もございます。 ※建物解体、アスファルト舗装、外溝、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさま(土地所有者様)のご負担となります。
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