駐車場経営とは?
空き地や相続した土地を所有しているものの、活用せずに放置しているという方もいるのではないでしょうか?土地を所有していると固定資産税・都市計画税の支出が必ず発生してしまうため、何らかの形で有効活用して収益を確保することを検討してはいかがでしょう。
持っている土地を有効活用することを「土地活用」と呼びます。土地活用には複数の方法があり、駐車場経営もその1つです。駐車場経営は、賃貸アパート・マンション経営と比べて初期費用が少なくて済むことや、準備に時間がかからないことといったメリットがあります。
ただし、事業開始後にかかる固定資産税・都市計画税については、同じ条件であれば駐車場経営のほうが賃貸住宅経営よりも高額になる傾向にある点に注意しましょう。アパートやマンションが建っている土地は「住宅用地」と認められ、固定資産税や都市計画税の優遇措置を受けることができますが、駐車場用地は住宅用地の要件を満たさないので、特例の対象から外れてしまうためです。
また、駐車場経営を行うにあたっては、固定資産税・都市計画税以外の税金もかかります。そこで本記事では、「これから駐車場経営を始めたい」という方に向けて、駐車場経営にかかる税金と節税方法について詳しく解説していきます。
●「駐車場経営の税金」に関する
よくある質問はこちら
駐車場経営にかかる税金
駐車場経営にかかる可能性がある税金は「固定資産税」「都市計画税」「消費税」「事業税」「所得税」の主に5つです。それぞれの税金について解説していきます。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物といった不動産や償却資産(アスファルト舗装や看板など、経年劣化を伴う設備)に対してかかります。税額の計算式は以下の通りです。
・固定資産税の金額 = 固定資産の価格(課税標準額) × 税率1.4%
式中の「課税標準額」は、公示価格の約70%となっています。固定資産の評価額は、市町村から毎年送付される納税通知書から調べられます。
なお、駐車場経営を行う場合には、前述の通り「住宅用地の特例」が適用されない点を押さえておきましょう。通常、居住用の建物がある住宅用地は「住宅用地の特例」の対象となり、課税標準額が最大1/6に軽減されます。※1一方で、駐車場の土地は住宅用地の要件を満たしていないため、この特例が適用されません。
都市計画税
都市計画で指定されている「市街化区域」内にある土地の場合、都市計画税の課税対象となり、以下の式により税額を求めることができます。
・都市計画税の金額 = 固定資産の価格(課税標準額)× 税率0.3%
都市計画税の課税標準額は、固定資産税と同じものを用います。また、固定資産税と同様に、住宅用地であれば都市計画税も最大で1/3に減額されますが、駐車場の土地の場合は特例の対象外となります。※1
消費税
駐車場経営の賃料収入には、消費税がかかる場合とかからない場合があります。土地整備をしていない駐車場や賃貸アパートに付属している駐車場、貸し付けでの土地の賃料収入は非課税となります。また、後ほどご説明しますが、「一括借り上げ方式」といった経営方針を採用する場合、土地の持ち主がアスファルト舗装などの整備をしないまま業者に一任すれば賃料収入は非課税です。
一方で、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者は課税事業者として扱われ、消費税を納める義務が生じます。※2
また、一括借り上げ方式で駐車場の整備をしたうえでの貸し付け、あるいは管理委託方式で経営をすると課税対象となります。ただし、これらの場合でも課税売上高が1,000万円を超えていなければ、納税の義務はありません。
個人事業税
事業税とは、個人事業主や法人の所得・収入に応じて課せられる地方税のことで、各都道府県によって税率が異なります。このうち個人事業主に対して課されるものを特に「個人事業税」と呼び、駐車場経営者も対象となっています。計算方法は以下の通りです。
・個人事業税の金額 = [ 所得( 収入 - 必要経費 ) - 各種控除 ] × 税率(地域ごとに異なる)
所得税
駐車場経営により所得を得ている人は、所得税の課税対象となります。税率は所得の合計金額によって異なり、所得が増えれば税率も上がる累進課税制度が採用されています。計算式は以下の通りです。
・所得税 = 課税される所得金額 × 税率 - 控除額
また、所得金額と税率・控除額は、以下の速算表をもとに計算することができます。※3
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000円~1,949,000円 |
5% |
0円 |
1,950,000円~3,299,000円 |
10% |
97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 |
20% |
427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 |
23% |
636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円~ 39,999,000円 |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円以上 |
45% |
4,796,000円 |
たとえば、所得金額が800万円の場合は以下のような計算により所得税が求められます。
・800万円×0.23 - 63万6,000円 = 184万円
駐車場の経営方法によって異なる税額
駐車場経営は、駐車場のタイプによって「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類、経営方式の違いによって「自主管理方式」「管理委託方式」「一括借り上げ方式」の3種類に分けられます。それぞれについて発生する税金の項目や金額が異なるものもあるため、ここから詳しく見ていきましょう。
駐車場の種類による税額の違い
駐車場経営によって得られる所得は、「不動産所得」「事業所得」「雑所得」のいずれかに相当します。経営するのが月極駐車場かコインパーキングかによって、どの所得として扱われるかが異なってくるのです。
月極駐車場
月極駐車場とは、利用者に1ヵ月単位で賃貸契約を結ぶ駐車場のことです。経営者は1ヵ月分の賃料を受け取ることになり、利用者がいる限り安定的な収入を得ることができます。
月極駐車場の経営により得られる利益は不動産所得に相当し、土地や建物などの不動産の貸し付けによって得た利益として扱われます。一定以上の事業規模と認められた場合や複式簿記による記帳といった「青色申告特別控除」の要件を満たす場合は、最大65万円までの控除を受けることが可能です。※5
不動産所得に対する課税の仕組みについては、詳しくは国税庁ページの解説をご確認ください。
コインパーキング
コインパーキングとは、誰でも利用することができ駐車時間分の料金を支払う駐車場のことで、月極駐車場とは異なり駐車台数と駐車時間によって収入が決まります。
コインパーキング経営での所得税は、事業所得もしくは雑所得に区分されます。雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得および一時所得のいずれにも当てはまらない所得のことです。ただし、一括借り上げ方式(後述)によりコインパーキング経営を行う場合は、不動産所得として扱われます。
経営方式による相続税の違い
駐車場の経営方式は「自主管理方式」「管理委託方式」「一括借り上げ方式」の3種類に区分され、それぞれ相続税の評価額の計算方法が異なります。
「自主管理方式」とは自分1人で駐車場の管理を行う方法を指す一方、「管理委託方式」は駐車場の管理を駐車場運営会社や管理会社に委託する方法を指します。土地を駐車場運営会社に貸し、運営会社から毎月賃料を得る方法を一括借り上げ方式といいます。
自主管理方式や管理委託方式で、土地の持ち主が自ら設備や整備の費用を負担して駐車場経営をしている場合には、「相続税の評価額 = 自用地評価額」となります。なお、自用地評価額とは、自分が使うことを想定して求めた土地の評価額のことです。
一方で、一括借り上げ方式で駐車場設備や整備にかかる費用を委託先管理会社が負担する場合には賃貸借と見なされるため、「相続税の評価額 = 自用地評価額 - 賃借権価額」となります。
駐車場経営にかかる税金の節税方法
駐車場の土地は住宅用地に比べ、土地にかかる税金の負担が大きくなる傾向がありますが、対策もいくつかあります。
たとえば、固定資産税は土地だけでなく、償却資産にも課税されますが、個人で経営を行う場合、合計150万円以下の償却資産に対しては固定資産税が非課税となります。駐車場経営における償却資産には、駐車料金自動収納装置、料金精算機、駐車券発行機、車止めなどがあり、これらをできる限り抑えることで節税につながるということです。※4
また、先にもお伝えしたように所得税は「青色申告特別控除」が適用される場合があり、駐車場が事業的規模と見なされることをはじめとした特別控除の要件を満たしていれば最大65万円、そのほかの場合は10万円の特別控除が受けられます。
さらに、相続した土地を活用して駐車場経営を始める場合、貸付事業用宅地等として認められれば相続税の評価額を抑えることが可能です。アスファルト舗装をすることで貸付事業用宅地等の要件を満たし、200㎡までの土地の評価額を50%減額できます。※6
駐車場経営は儲かる?
これまで駐車場経営にかかる税金について解説してきました。駐車場経営は、使用する土地が固定資産税の軽減措置の適用外であるため、住宅用地として土地活用する賃貸住宅経営より、税負担が大きくなります。ただし、工夫次第では節税できる場合もあり、所有している土地を活用せず、固定資産税だけを納税していくより、土地活用を行って収入を得るほうが有効です。
駐車場経営は、規模や経営方式、料金設定によってその収入は異なりますが、どのくらいの収入が見込めそうなのか具体的な数値をつかみつつ、税金についてもどのくらいかかるのかを把握して、資金計画をより万全なものにしてから始めるようにしましょう。
また、先ほどご紹介した通り、一括借り上げ方式でプロに任せると安定した収入を得られる可能性が高まります。三井のリパークでは、設備の導入や運営にかかる費用を負担しているため、初期費用を抑えることが可能です。また、定期的な清掃やトラブルへの対応も行っているため、安心して駐車場経営を行うことができます。駐車場経営をしたいと考えている人は、ぜひ三井のリパークにご相談ください。※7
● 駐車場経営の税金のご相談・お問い合わせは
こちらへ
「駐車場経営の税金」に関するよくある質問
最後に駐車場経営の税金について、大事なポイントを3つおさらいしましょう。
駐車場経営でかかる税金は?
「固定資産税」「都市計画税」「消費税」「事業税」「所得税」の5つの税金がかかります。
駐車場経営で節税できる?
賃貸住宅経営による土地活用に比べると節税効果は低くなりますが、工夫することで税金を抑えることができます。
駐車場経営を成功させるには?
自分に合った経営方法を選ぶことが重要です。一括借り上げ方式といったプロに任せる方法もあり、安定した収益が得られるため安心です。
※4出典:東京都主税局「固定資産税(償却資産)」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.htmlhttps://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.html
(最終確認日:2023年3月28日)
※6出典:国税庁「No.4124相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
(最終確認日:2023年3月28日)
※7立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。