更地とは?
「更地」の読み方は「さらち」で、家や門といった建物や構造物などが何も建っていない宅地のことです。詳しくは、「借地権」や「地上権」などの権利がその土地に付いておらず、購入後の建築に制約のない宅地のことを更地と呼びます。
ただし、市街化区域内であっても、耕作していない農地や、樹木が生えていない山林は宅地ではないため、更地とは呼びません。一方、借地権や地上権と違って、住宅ローンの利用の際に設定される「抵当権」が付いていた場合、抵当権自体は土地の利用を制限するものではないため、更地に該当します。同様に、建築基準法や都市計画法などによる制約が付いている場合も、利用方法を制限する権利ではないので更地と呼ばれます。
「不動産を相続したけれど、その活用方法に困っている」「実は、使っていない不動産を持っている」という声を聞くことがありますが、使っていない土地や家屋を保有していると、税金や維持費がかかり、出費がかさむ一方です。不動産を所有しているなら、ぜひ土地活用を検討してみてはいかがでしょうか?その際、まずは土地を更地にして、土地の活用法に見合った設備を導入しましょう。
今回は更地について、その言葉の意味や似た言葉との違い、おすすめの土地活用法などを紹介します。
まずは、更地と混同されがちな以下の用語について見ていきましょう。
・整地
・敷地
・底地
整地
「整地」とは、土地のごみや砂利を取り除いた後に転圧作業を行い、凹凸や高低差をなくして平らな状態にすること、またはそのような状態になっている土地のことを指します。
一般的に「更地」という場合には整地された土地も含むことがありますが、不動産用語として整地と更地を分けて使う場合、更地は転圧作業をしていない、まっさらな宅地という意味で使われます。整地されていると見た目がきれいなので、印象がよくなり、土地が売れる可能性が高くなります。
敷地
「敷地」とは、建物が建っている住宅用地のことを指し、建物の建築部分や駐車スペース、庭などをまとめて1つの敷地と呼びます。敷地の言葉の定義は「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地」※1で、分かりやすくいうと、「1つの敷地に建てられるのは1つの建物、もしくは用途上分けることができない複数である」ということです。たとえば、住宅用の家と物置や、住宅用の家と駐車スペースなら、1つの敷地内に作ることができます。
そもそも敷地は建築物がある土地のことを指すため、更地とは異なります。敷地の要件を満たすには、建築基準法19条の定める基準に準拠している必要があります。
底地
「底地」は「そこち」と読み、借地権が付いている土地の所有権のことを指します。借地権とは、建物を所有するために、土地の所有者から土地を借りて使用する権利のことで、底地は底地権ともいいます。
底地には、借地権が付いていて、場合によっては建物が建っていることもありますが、一方の更地には、借地権のような土地の利用を制限する権利が一切付いておらず、建物も建っていないという違いがあります。
更地にする際にかかる費用
建物を取り壊して、更地にするには、主に以下の費用がかかります。
・解体費用
・廃棄物の処理費用
解体費用
解体費用の目安は以下の通りです(当社調べ)。
・木造:3~5万円/坪
・鉄骨造:4~6万円/坪
・鉄筋コンクリート造(RC造):5~9万円/坪
以下、建物の構造の違いによる解体費用について、詳しく見ていきましょう。
木造
木造の解体費用が鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて安い理由は、解体にかかる労力が少なく、処分費用が高額な廃材も出にくいからです。しかし、築浅で耐久性の高い工法を利用した木造となると、解体費用が高額になる場合があります。
鉄骨造
鉄骨造の住宅は、鉄骨の厚みが6mm未満の軽量鉄骨造、6mm以上の重量鉄骨造に分けられ、重量鉄骨造のほうが一般的には割高です。軽量鉄骨造で4~5万円/坪、重量鉄骨造で5~6万円/坪がおおよその相場です。
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造の建物は、木造や鉄骨造の建物と比較して、頑丈な造りが特徴です。そのため、多くの場合は解体工事に手間がかかり、費用も高くなります。また、建物の工法や種類などによって、費用が大きく変わることがある点にも注意しましょう。
最近では、解体費用を簡単にシミュレーションできるAIシミュレーションサイトやWebサービス提供会社による一括見積もりサイトも普及しているので、資金計画の目安として活用するとよいでしょう。
廃棄物の処理費用
建物を解体すると、木くずやコンクリート片などの廃棄物が発生します。廃棄物の処理費用は材質によって異なりますが、リサイクルしやすい金属くずなどのほうが安く上がるのが一般的です。
また、廃棄物の処分費用の相場は1㎥あたり3,000~8,000円程度です。廃棄物処理の業者、リサイクル業者など、廃棄物を処理する委託先を上手に組み合わせれば、費用が抑えられることも多いので、工夫してみてください。
更地のままにするデメリット・メリット
建物の解体に費用がかかるからといって、空き家をそのままの状態で放置していると、以下のようなデメリットがあります。
・建物の劣化
・近隣住民とのトラブル
空き家を長期間閉め切っていると、湿気がたまってカビが発生したり、シロアリの被害で柱や壁に穴が開いたりします。ガス管や給排水管も、管の内側に付いた汚れの乾燥や硬化で破損しやすくなるため、注意が必要です。さらに、敷地内に植木や雑草が生い茂ると、伸びた枝葉が近隣の邪魔になったり、猫やネズミなどの小動物のすみかになったりする場合もあります。
このような状態になると「隣の空き家の樹木が、わが家の敷地にまたがっている」「動物の糞尿による悪臭がひどい」など、近隣からさまざまなクレームが来るようになり、大きなトラブルに発展することも少なくありません。
といっても、住宅を取り壊して更地の状態にすると、小規模住宅用地をはじめとした特例が適用されなくなるため、建物が建っている場合と比べてかかる税額が大きくなってしまいます。小規模住宅用地の特例とは、固定資産税や都市計画税の課税標準額を軽減する措置のことで、固定資産税評価額が6分の1になります。
住宅が建っているほうが課税額は軽減されるものの、今後住む予定も賃貸に出す予定もない場合は、トラブルを避けるためにも空き家のまま放置せず、土地活用で収益を得るか売却するかが賢明です。
更地の活用方法
現在所有している土地を売却する予定がないなら、駐車場経営やマンション・アパート経営などの土地活用を行うのがよいでしょう。更地から始められる土地活用をいくつか紹介します。
・駐車場経営
・マンション・アパート経営
・コインランドリー経営
・トランクルーム経営
駐車場経営
駐車場経営は、手軽でリスクの少ない土地活用方法として人気です。自分がオーナーとなる「自主管理方式」や、機械の導入から運用・管理までを一括して専門業者に任せる「一括借り上げ方式」など、経営方法もいくつかの選択肢から選ぶことができます。必要な設備が少ないので、次の土地活用への転用性も高く、狭小地や変形地といった土地の形状にも柔軟に対応できます。
特に、一括借り上げ方式での運営であれば、初期費用がかからず無料で始められるうえ、毎月安定した収益を得られる、管理からトラブル対応まできめ細かいサポートを受けられるといったメリットもあります。「手軽に土地活用をしたい」「投資リスクを抑えて、安定した収益が欲しい」という方にはおすすめの方法です。※2
●駐車場経営のメリットやデメリット、成功のポイントに関する記事は
こちら
マンション・アパート経営
マンション・アパート経営も、駐車場経営と同様に人気の土地活用方法の1つです。正常な経営が実現すれば、賃料収入による大きな収益が期待できます。ただし、空室になるリスクやローンの金利変動、初期費用が高いといった投資リスクもあるので、慎重に進めましょう。
国税庁の「地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)【令和5年分用】」※3によれば、木造住宅と鉄筋コンクリート造の建築費の全国平均は、それぞれ約18万円、約28万円です。たとえば100坪程度(約331㎡)の延べ面積(各階の合計床面積)の住宅を建てる場合、木造アパートであれば約6,000万円、鉄筋コンクリート造のマンションであれば約9,300万円程度の初期投資が必要になります。
●マンション経営にかかる費用や経営時の注意点に関する記事は
こちら
●アパート経営にかかる初期費用や必要な自己資金に関する記事は
こちら
コインランドリー経営
コインランドリー経営も、ランニングコストが低く、高い利回りが期待できる土地活用方法です。ただし、初期費用が2,000万~5,000万円程度と高額で、収入が立地に左右されやすいという特徴があります。ファミリー層が多く住むエリアや、近隣に商業施設があるエリアでは大きな収益が期待できますが、競合も多いので、こちらも慎重な検討が必要です。
●コインランドリー経営のメリットやデメリット、初期費用に関する記事は
こちら
トランクルーム経営
トランクルーム経営のメリットは、駐車場経営と同じく、初期費用の安さと土地の転用性の高さです。ただし、トランクルームは法律の定める「倉庫業」に該当するため、開業には「倉庫業法」にのっとった倉庫の用意や手続きが必要です。専門業者に業務を委託したり、土地を貸したりする場合を除くと、預かっている物品の保管・補償義務も発生します。
更地は積極的に土地活用しよう!
ここまで、更地の意味や混同されやすい用語との違い、更地にする際にかかる費用や土地活用の例などを解説してきました。もともとその土地に建物が建っていた場合は、更地にするための費用がかかりますが、空き家や更地のままで残しておくのはデメリットが大きいため、土地活用がおすすめです。
ご自身の希望や土地の形状・立地によって、最適な土地活用は異なるため、記事中でご紹介した更地の活用方法を参考に、情報を収集してみましょう。
「手軽で低リスクな土地活用をすぐに始めたい」「管理や維持の手間をかけたくない」という方には、一括借り上げ方式での駐車場経営がおすすめです。三井のリパークでは、一括借り上げ方式での駐車場経営サービスをご用意しています。ぜひお気軽にご相談ください。
●駐車場経営にかかる初期費用や経営方式に関する記事は
こちら
※2 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。