アパート経営の初期費用はいくら?
土地活用をすると決めた人のなかには、アパート経営やマンション経営などの賃貸経営を検討する方も多いと思います。初めて土地活用をする人の場合、「自己資金はいくら必要なのか?」「リスクを抑えて経営することはできるのか?」など、知りたいことや不安なことが多くあるのではないでしょうか?
実際、アパート経営の初期費用には、アパート建築の費用以外にも、アパートローン(不動産投資ローン)の手数料や不動産取得税など、さまざまな諸費用が発生します。今回は、アパート経営に必要な初期費用の内訳やアパート経営の注意点のほか、初期費用を抑えた土地活用の方法として駐車場経営についても解説します。
アパート経営にかかる初期費用の内訳は?
アパート経営にかかる初期費用は大きく分けて、建築費用と建築以外の諸費用に分けられます。
建築費用
アパートのおよその建築費は、坪単価 × 延べ床面積で計算できます。建築費の坪単価は構造によって異なり、坪単価の目安は以下の通りです。※1 なお、坪単価には外構費等を含まない場合がありますので、ご留意ください。
構造 |
坪単価目安 |
木造 |
58.5万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 |
87.6万円 |
鉄筋コンクリート造 |
91.9万円 |
鉄骨造 |
89.9万円 |
上記はあくまで目安であり、坪単価は地域により異なるため注意が必要です。
建築以外の諸費用
建築以外の諸費用は以下の通りです。
・不動産取得税
・印紙税
・登録免許税
・司法書士手数料
・各種保険料
・アパートローン手数料
それぞれどの程度かかるのか見ていきましょう。※2
不動産取得税
不動産取得税とは、建物や土地を取得した際に納める(支払う)税金のことで、固定資産税評価額 × 税率で求められます。税率については以下の通りです。
・土地および住宅 3%(2024年[令和6年]3月31日まで)
・住宅以外の家屋 4%
また、住宅取得の負担軽減のため特例措置があります。特例措置では、住宅を新築した場合、課税標準の金額から1,200万円が控除されます。中古住宅を取得した場合には、課税標準額から新築された年月日に応じた額が控除されます。
印紙税
印紙税とは、文書や契約書等を作成した際に必要な収入印紙の代金です。税額は、契約金額によって支払額が変わります。
契約金額 |
支払額 |
1千万円を超え5千万円以下 |
2万円 |
5千万円を超え1億円以下 |
6万円 |
1億円を超え5億円以下 |
10万円 |
5億円を超え10億円以下 |
20万円 |
10億円を超え50億円以下 |
40万円 |
50億円を超えるもの |
60万円 |
登録免許税
登録免許税とは、アパートを建築した際に、所有権や抵当権を法務局で登記する際に納める税金です。アパート経営の場合は、新たに建物ができたことを登記する「所有権保存登記」と、アパートローンを組む場合に必要な「抵当権設定登記」が想定されます。
所有権保存登記にかかる登録免許税は、「固定資産税評価額 × 税率(0.4%)」。抵当権設定登記にかかる登録免許税は、「借入金額 × 税率(0.4%)」で計算することができます。
司法書士手数料
司法書士手数料とは、前述した「所有権保存登記」や「抵当権設定登記」を司法書士に依頼する場合にかかる手数料です。司法書士報酬の相場は、1万~10万円ですが、依頼先や登記の種類によって異なる場合があるため事前に見積もりを依頼しておくことがおすすめです。
各種保険料
アパートを経営するうえでは、さまざまなトラブルに対応できるよう、保険に加入することが必要です。特に火災保険や地震保険への加入は重要だといえるでしょう。保険料は建物の構造によって異なりますが、一般的に10年契約で30万~50万円前後かかることを想定しておきましょう。
アパートローン手数料
アパートを建設する際、自己資金で賄うのが難しい場合には、アパートローンを組むことが可能です。アパートローンを組むには、保証料や1件あたり5万~10万円程度の事務手数料が発生します。なお、事務手数料は、たとえば「融資額の2.2%」というように、融資額に対する割合で設定している金融機関もあります。
アパートローンを組む際は、返済期間や金利を考慮しましょう。ローンにかかる費用は金融機関によって異なるため、慎重に比較検討し組み方を工夫することで、費用を抑えてアパート経営をできる可能性が高くなります。
上記で紹介した費用のほかにも、不動産会社への仲介手数料や、入居者の募集を依頼する際にかかる費用などが発生するケースもあります。事前に見積もりを立て、計画的に資金を用意しましょう。
アパート経営に必要な自己資金は?
ここまで初期費用の内訳について解説してきました。では、実際にアパート経営を成功させるためにはどのくらいの自己資金があればよいのでしょうか?物件やローンの金額によっても変わりますが、アパート経営を始めるには、アパート建築費の20~30%にあたる自己資金を備えておくと安心です。
自己資金が足りない場合には、前述の通りアパートローンを組むことが一般的です。アパートローンの審査では、年収や職業、自己資金額やアパート経営の実績などからローンを組むことが可能であるか総合的に判断される傾向にありますが、審査基準は、金融機関によってさまざまです。おおまかな目安として建築費の20~30%の自己資金を保持しておくことで、アパートローンの審査に通りやすくなる場合もあります。
また、アパートローンの審査においては収益性も重視されます。自己資金が少なくても、好立地で交通の便がよいなどの収益性が見込めそうな土地を持っている場合には、審査に通る可能性が高くなるといえます。
アパート経営の初期費用と併せてチェック!リスクや注意点
ここまで、アパート経営の費用についてご紹介してきました。アパート経営を始めるには、費用だけでなくリスクや注意点についても知っておくことが大切です。
初期費用が高い
アパート経営において、アパート1棟を建築または購入するのにはほかの土地活用方法と比較しても、大きく初期費用がかかります。また、前述の通り、建築費だけでなく、各種保険料といった諸費用も発生します。ローンを組むのが可能とはいっても、かかる費用に対して借入額の割合が多過ぎると判断された場合に、希望の借入額では審査が通らないケースもあります。そのため、複数パターンの資金計画を立てておくことが重要です。
初心者には運用が難しい
アパート経営は、始めた後も維持や管理のための費用がかかり、ある程度の年月がたつと修繕費用も発生するため出費が増え、赤字になるリスクが考えられます。アパートローンの審査が通ったとしても、毎月ローンを返済しなくてはならないため、いかにして入居者を確保し、空室を作らないかが重要です。空室率が高くなってしまうと、家賃収入が減り、期待できる収益が見込めず経営が困難になるケースもあります。
転用性が低い
アパート経営を行った場合、何らかの理由で別の業態に転用したいと思っても建築したアパート1棟の購入を希望する人自体は決して多いとは限りません。つまり、満足のいく価格で売却することが難しいことも十分に考えられます。また、建っているアパートを解体して更地にしてから土地活用を行うとなれば、解体費用もかかってしまいます。そのため、アパート経営は、別の土地活用方法に転用しにくいといえるでしょう。
●アパート経営で失敗するケースや失敗回避の対策について詳しくは
こちら
駐車場経営は初期費用が安い!
ここまで、アパート経営について費用や注意点などをご紹介してきました。アパート経営は収益性が期待できる場合は、大きなリターンが見込めるものの、初期費用が高く途中でやめることが難しいためリスクも大きくなります。
そこで、土地活用の初心者の方や、リスクを抑えて安定した収入を得たい方には、駐車場経営がおすすめです。駐車場経営の場合、建物の建設が必要なく初期費用が安いため、自己資金が少ない人でも比較的気軽に始められます。駐車場運営会社による一括借り上げ方式で始める場合、設備費や運営費を負担してもらえる場合も多く、運営会社から毎月一定の賃料(借地料)が支払われるため、安定した収入を得ることが可能です。
加えて、駐車場経営は建築物が必要ないことから、アパート経営と比較しても設備の撤去に時間や費用がかからず、ほかの土地活用に切り替えやすいといえます。
三井のリパークでは、設備の導入や運営にかかる費用を負担しているため、初期費用を抑えることが可能です。※3 一括借り上げ方式では、プロに任せることで安定した収入を得られる可能性も高く安心です。初期費用を抑えて土地活用をしたい方は、ぜひ三井のリパークにご相談ください。
●土地活用の方法について選び方やポイントについて詳しくは
こちら
●駐車場経営にかかる初期費用や経営方式について詳しくは
こちら
※2 実際の金額等は専門家にご相談ください。
※3 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。