2024.03.21

アパート経営で失敗するケースは?失敗を回避する対策やリスクが低い土地活用方法も解説

アパート経営で失敗するケースについて、よくあるパターンや対策などを解説します。また、アパート経営よりも初期費用を抑えられ、失敗のリスクが低い土地活用の方法も併せてご紹介します。
監修者:不動産コンサルタント 秋津 智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。不動産コンサルタントとして、物件の選び方から資金のことまで、住宅購入に関するコンサルティングを行なう。

アパート経営は失敗しやすい?

土地活用のために、アパートを建てて賃貸経営することを迷っている方もいるのではないでしょうか?アパート経営は安定的に家賃収入を得られるという点で魅力的な反面、設計や建築にかかる費用、そのほか付随する諸費用といった初期費用や、運用中の修繕費、税金などのランニングコストが比較的高額で、さまざまな費用がかかります。投資資金が大きくなるため、毎月の得られるキャッシュフローがどのくらいになるのか、投資資金(初期費用)の回収にどのくらいかかるのかを考えると、成功するのか不安に思うこともあるでしょう。
アパート経営で失敗しないためにも、まずは考えられるリスクをしっかりと把握して、対策を立てていきましょう。この記事ではアパート経営で失敗するケースや、その対策、失敗してしまった際の対処法について解説しています。また、土地活用においてアパート経営よりもリスクが低い駐車場経営についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
経営されているアパート

アパート経営で失敗する理由は?具体例3つ

アパート経営では、初期費用を回収できないだけでなく、維持費の支払いが困難になり経済的に破綻してしまうなどさまざまなリスクがあります。こうしたリスクが顕在化してしまうと失敗につながります。ここではアパート経営の具体的な失敗事例やその要因を押さえておきましょう。

ローン返済が滞る

アパートを新築するためのローンを利用した場合は、毎月のローン返済があるため、より安定した賃料収入が必要です。アパート経営は、不動産の税制の特例が利用できることに加え、アパートローン(事業系ローン)の借り入れを行うことで相続税対策になることが期待されます。しかし、借入金額が高額だと、収入が減った場合や出費が増えたときの対応が難しくなってしまうこともあり得ます
さらに、アパートローンは変動金利であることが多く、借入金額が大きいほど、金利上昇による返済リスクも高くなります。
なお、アパート経営に必要な初期費用は以下の通りです。
・アパートの設計・建設費用
・登記費用(登録免許税、司法書士報酬、実費)
・不動産取得税
・火災保険料
・印紙代
・アパートローンの手数料など

入居者が決まらない

アパート経営で最も懸念するリスクは空室リスクです。入居者募集を行っても、入居者が決まらない場合、その分の家賃収入を得られなくなります。想定していた賃料収入が得られなくなった場合、ローンを返済できなくなる恐れもあるでしょう。
入居者が決まらない要因は、さまざまなことが考えられます。たとえば、立地が悪い、賃料が適切でない、部屋の設備が古い、間取りが悪いなどといったアパートの条件が悪い場合です。また、管理会社の入居者対応が悪い、もしくは管理会社の営業力が弱いなどといったアパートの運営管理が悪いといったことも、入居者がなかなか決まらない要因として挙げられます。
空室の状態が続くと大きな機会損失となり、ローンを借りている場合はその返済も厳しくなってしまうため、必要に迫られて賃料を下げなければならなくなる可能性があります。
賃料が下がる要因として考えられるものは以下の通りです。
・メンテナンスが不十分でアパートの質が落ちる
・管理が不十分で空室が増える
・瑕疵が発生する
メンテナンスしていないアパートの外壁

メンテナンスが不十分でアパートの質が落ちる

メンテナンスが行き届いていないと、たとえば、敷地内に雑草が生えて見栄えが悪い、ゴミが散乱しているといった状況になることがあります。また、建物の老朽化、設備の陳腐化が進むと、入居者に敬遠されて空室が増えたり、長期間空室になったりする恐れもあります。そのため、日常的な清掃や除草などのほか、建物本体や設備のメンテナンスに費用をかけて維持を心がける。もしくは空室とならないよう、賃料を下げて家賃に魅力を持たせるといった対応が必要です。

管理が不十分で空室が増える

オーナー自身に賃貸運営のノウハウが不足していたり、管理が行き届かない管理会社へ依頼していたりすると、家賃を値下げせざるを得ないことがあります。たとえばマナーの悪い入居者の対応を怠ったことでほかの入居者が定着しなかったり、管理会社による入居者募集の営業力が弱く入居者が集まらなかったりすると、空室が埋まらなくなるため、結果的に家賃を下げざるを得ないこともあります。

瑕疵が発生する

瑕疵とは、備えるべき品質や性能を欠いた状態のことです。不動産の瑕疵の種類には、心理的瑕疵、物理的瑕疵、環境的瑕疵、法的瑕疵があります。たとえばアパート周辺に反社会勢力の事務所があったり、アパート内で殺人事件が起きてしまったりした場合などは心理的瑕疵に当たります。物件に瑕疵が発生すると、その後の対応が非常に難しく、基本的には家賃を下げざるを得ません。
アパートの空室

予想外のことが起きた場合に対応できない

アパート経営では予想できない事態が発生することがあり、その際に対応が適切でないと、アパート経営に失敗してしまうことがあります。
予想外の事態のうち、代表的なものとしては以下の3つが挙げられます。
・災害
・滞納・夜逃げ
・事件・事故

災害

災害は、火災のほか、台風による風水害や地震、洪水などの自然災害があり、建物がひどく壊れたり、倒壊してしまったりした場合、家賃収入は得られなくなります。こうした災害リスクに備えて、火災保険や地震保険などに加入して、万が一のときのために対策しておく必要があります。

滞納・夜逃げ

入居者があっても、家賃を滞納されると収入が入らなくなり、アパート経営に大きな影響が出ることがあります。それだけでなく、入居者が夜逃げをすると、残された家財の処理や室内の修繕費用もオーナーの負担となることがあり、アパートの運営の大きな支障となり得ます。
滞納・夜逃げ対策としては、入居者に保証会社への加入を義務付けたり、身元の確かな連帯保証人を求めたりするほか、入居時の審査を厳しくする、滞納を増やさないよう督促をするといったことが挙げられます。そのため、管理委託する管理会社の選定も非常に重要です。

事件・事故

アパート経営において事件や事故が発生した場合、適用となる家賃や復旧費用を補償する保険もありますが、利用できるのは限定的です。そのため発生してしまったら、基本的には家賃を相場より大きく下げて対応していくことになります。

アパート経営で失敗しないための対策

ここまで、アパートを経営する際に失敗してしまう理由や考えられるケースについて解説してきました。この先は、アパートを経営するうえでこのような失敗を防ぐにはどうしたらよいのか、詳しくご紹介します。

アパートの資金計画を慎重に立てる

アパート経営で経済的に失敗しないようにするにはまず、ローン返済で経済的に破綻しないよう、アパートの取得から運営中までの資金計画を慎重に立てることが大切です。資金計画を立てるうえで、ローンの利用条件は、経営を左右する大きなポイントとなります。基本としてはローンを借り過ぎないということが重要となるため、自己資金を可能な限り準備したうえで、問題ない範囲の借入額とすることが重要です
また、家賃設定は甘いものとせず、収入は厳しく見積もるようにしましょう。もし空室や維持費の増加、災害といったトラブルがあっても対処できるよう自己資金に余裕を持たせることのほか、利回りの計算や対処のシミュレーションをしておくと、いざとなったとき慌てずに対応することができます。

ニーズに合ったアパートを建てる

入居者が入らないというリスクを軽減させるために、周辺の入居希望者のニーズに合致しやすい魅力的なアパートを建てることも、アパート経営の失敗を避けるために有効です。たとえば、「部屋の面積をやや広くする」「収納スペースを無駄なく設置する」「トイレとバスを別にする」など、需要のある間取りや設備を採用するようにします
一方、建築費や設備費などを削減するために、建物のグレードを下げ過ぎてしまうと、アパートの魅力も下がってしまうことがあります。自分の予算の範囲内で工夫して最大限魅力的なアパートを建てましょう。
トイレバス別の家の中

周辺の需要や家賃相場をリサーチする

ニーズに合ったアパートを建てるためにも、事前に周辺の需要をリサーチしておくことが大切です。そのエリアに多く居住している人の家族構成や年代を知ることで、それらのニーズに合った間取りとすることができます。また、周辺の家賃相場も調べることで、無理のない家賃設定ができ、確度の高い資金計画を立てることが可能です。
運営中も周辺の需要や家賃相場を引き続きリサーチしていくことで、適正な家賃補正をすることができるでしょう。

メンテナンス・管理を計画的に行う

建物の劣化を遅らせるため、「何年に1回はどこをメンテナンスする」といったように、メンテナンスの計画を事前に立てて実行しましょう。たとえば、「鉄部は10年に1回は塗装する」「給湯器は少なくとも15年に1回は交換する」「屋根や外壁は20年に1回は修繕する」といった長期の計画を立て、予算を決めて積み立てておきます。
経営に不安がある方は、自分で管理を行うより運営管理会社へ委託するのが安心です。そのエリアで賃貸管理の実績があるかどうか、サポート体制は充実しているかなどの点をしっかりと見極めて、管理会社を選びましょう。
屋根のメンテナンス・修繕

アパート経営で失敗した場合の対処法

アパート経営で失敗しないための対策について、いくつかご紹介しました。とはいえ、対策を十分にしていても、やはり経営に不安は付き物です。もし失敗をしてしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?
対処方法としては、個別のリスクに合わせて臨機応変に対応していくことが必要です。たとえば、「空室が多い場合には家賃や入居条件を変更する」「建物の劣化や設備の老朽化には修繕や更新を行う」「管理状態や入居者募集などで管理会社に原因がある場合は管理会社を変更する」といった具合です。
一方、なかにはアパート経営そのものが難しい場合もあり、その際は、売却することを視野に入れておくことも必要です。しかし、アパートローンの残債次第では、簡単に売却することができない場合もあります。アパートローンの返済に窮したら、できるだけ早く金融機関に相談するようにしましょう。
パソコンの前で悩んでいる男性

アパート経営より失敗するリスクが低い駐車場経営とは?

アパート経営のリスクや対策、対処法について解説してきました。アパート経営には大きな資金が必要になるうえ、失敗するリスクも少なくありません。もっとリスクを抑えた土地活用方法があるなら検討したいと思う方もいるのではないでしょうか?
アパート、マンション経営よりもリスクが少なく、初期費用も抑えて土地活用を行う手段として、駐車場経営があります。駐車場経営とは、土地に月極駐車場やコインパーキングを設けて駐車料を得る土地活用方法のことです。ここでは、駐車場経営のメリットと注意点をご紹介します。
●駐車場経営の基礎知識についてはこちら

駐車場経営のメリット

駐車場経営はアパート経営に比べて、リスクや初期費用を抑えられるため、始めやすいといったメリットがあります。さらに立地や設定条件、運営方法次第では、安定した収益を確保することも可能です。
また、アパート経営に比べて初期費用は格段に安く、必要な設備が少ないため、修繕やクレームが少ないという傾向があります。加えて、特定の入居者がいないことから管理が容易である点や、建物を建てないため別の土地活用に移行しやすいといったところも魅力でしょう。
管理を駐車場運営会社に任せる場合、会社や契約内容によっては初期費用や設備の設置費用を負担したり、運営を代行したりしてくれるところもあり、経営に不安があっても始めやすい土地活用の方法です。

駐車場経営の注意点

一方で駐車場経営では、アパート経営のような住宅用地の軽減措置が適用されないため、土地の固定資産税や都市計画税はアパート経営に比べて高くなります。ほかにも駐車場内で事故や人的トラブルが発生する可能性があったり、消費税が発生するため、2023年10月1日から施行されたインボイス制度が適用になったりと、駐車場経営を検討する場合には、これらの注意点についても併せて把握しておくことが必要です。
●駐車場経営にかかる固定資産税についてはこちら
車が並んでいる駐車場

アパート経営の失敗が不安なら、リスクをしっかり理解しよう

アパート経営は、建設費をはじめとする初期費用が高いため、「ローンを利用する場合には、融資額が高額になればその分、返済額が高額になる」「空室があると家賃が入らず収益が減る」「建物や設備の修繕が高額になる」といったリスクが考えられます。しかし、余裕を持たせた計画プランを立てて実行することで、これらのリスクを軽減でき、失敗を防げる可能性が高くなります。
一方、駐車場経営では、初期費用を抑えて始めることができ、条件によっては安定的な収入が得られるため、アパート経営よりもリスクを抑えた土地活用を実現することができます。三井のリパークでは、一括借り上げ方式の場合、駐車場経営にかかる初期費用、運営管理費用、設備の設置費用を負担しています。※1 さらに三井不動産グループの総合力を生かして、お客さまのニーズに合った幅広いご提案が可能です。土地活用の方法について検討したいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
●土地活用や駐車場経営に関するお問い合わせはこちら
※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
駐車場経営
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※立地等によってはお受けできない場合もございます。 ※建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさま(土地所有者様)のご負担となります。
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