ガレージハウスの賃貸住宅経営とは
ガレージハウスとは、車庫(ガレージ)と住居が一体となった住宅のことをいい、1階が車庫、2階に住居スペースがあるのが一般的です。このような住宅は、車やバイクにこだわりを持つ愛好家や、車を2台持ちする人(高所得者)の需要が高く、賃貸住宅として経営することもできます。ただし、土地活用としては一般的な一戸建て賃貸住宅に比べてまだまだ事例が少ないのが現状です。
今回は土地活用をお考えの方へ、ガレージハウスの賃貸住宅経営について、メリットやデメリット、設計の際のポイントを解説します。
ガレージハウス経営のメリット
ガレージハウス経営のメリットについて、以下で解説します。1つずつ詳しく見ていきましょう。
家賃設定を高めにできる
ガレージハウスは、通常の賃貸住宅と比べて家賃を高く設定できます。というのは、一般の建物とは異なるガレージという付加価値があり、希少性もあるためです。また、ガレージハウスは高級車を持つ高所得者からの需要により、家賃が高くても借主が見つかりやすい傾向にあります。
賃貸需要が立地条件に左右されにくい
ガレージハウスは、駅から離れていても一定の需要があるといわれています。その理由は、ガレージハウスを求める人は、車やバイクでの移動が多いためです。駅近物件の需要が高い、アパートやマンションの賃貸住宅経営が難しい立地でも、ガレージハウスとしてなら活用できる可能性があります。
土地が狭くても活用できる
ガレージハウスの経営は、一戸建てが建てられる広さの土地から始められます。また、一般的な居住用住宅からの建て替えも可能です。
ガレージハウス経営のデメリット
ガレージハウスの経営には、デメリットもあります。以下では、3つのデメリットについて解説していきます。
建築費が高くなりやすい
ガレージハウスは、建物内にガレージ用の大空間を作りますが、木造建築では耐震性を保つ柱や壁が邪魔になって、スペースが確保できないことがあります。その場合、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建築することとなり、一般的な木造住宅の建築と比べて建築費が高くなります。また、ガレージ内の空調やシャッターなどの設備にも費用がかかるでしょう。
空室のリスクがある
一戸建て賃貸住宅の場合、アパート経営と異なり、戸数が1戸しかありません。前居住者が退去して空室になった際に、家賃収入がなくなるリスクもあります。次の入居者を探すにしても、主なターゲットが車・バイク愛好家や車を2台持ちする人であるため、入居者が見つかりにくい場合もあります。
さらに、空室で収入がない状態でも固定資産税などの維持費が発生するため、注意が必要です。
近隣からのクレームの可能性がある
ガレージハウスは、近隣住民から騒音のクレームを受けることがあります。たとえば、早朝や深夜にシャッターを開閉して車を出し入れする入居者の場合、近隣トラブルを引き起こす恐れがあります。ガレージハウスを賃貸住宅として経営するなら、クレームが起きないよう、入居者が変わるたびに騒音の注意喚起が必要です。
クレームが入るような騒音トラブルを防ぐためには、賃貸借契約時に騒音に関する注意事項を説明したり、使用細則で時間に制限を設けたりする必要があります。また、ガレージを建てる段階で、開閉音が静かなシャッターを選択することも大切です。
ガレージハウス経営に成功する設計ポイント
ガレージハウスを借主に魅力的に感じてもらうための設計のポイントは以下の3つがあります。
・車庫の幅と高さ
・ガレージ内の各設備
・ガレージ内のエアコン・換気扇
ガレージハウス経営を成功させるために、これらのポイントを押さえておきましょう。
車庫の幅と高さ
車庫の出入り口の幅を広くしたり、天井を高くしたりするなどして、大型車でも余裕のある駐車スペースを確保するとよいでしょう。大きい車庫を造ることで、マンションやアパートの駐車場に入らない大型車を所有している人からの需要が高まる可能性があります。
ガレージ内の各設備
ガレージのシャッターや収納などの設備に工夫を加えることもポイントです。たとえば、リモコンで簡単に操作できる電動シャッターなら、出入りの際に車の乗り降りが必要ありません。また、車のメンテナンスや洗車ができるように工具用の壁面収納を用意することも、ガレージに対して魅力を感じてもらうのに効果的です。
なお、洗車用の排水設備を設ければ天気が悪くても車庫内で洗車ができ、借主からの評価が高まる可能性があります。
ガレージ内のエアコン・換気扇
エアコンを設置してガレージ内で温度調整ができるようにしておくこともおすすめです。車のメンテナンスや洗車などは季節に関係なく必要なため、エアコンがあれば真夏や真冬でも快適に行えます。
また、ガレージ奥に換気扇を設置するのもよいでしょう。ガレージの奥は車の排気ガスがたまりやすいため、悪臭の原因にもなります。
ガレージハウス経営を始める際の流れ
ガレージハウス経営を始める際の主な流れは以下の通りです。
・土地がガレージハウスに適しているか確認する
・建築・改修の計画を立てる
・見積もりを依頼し、業者を決定する
・ガレージハウスを建築する
・入居者を募集する
建築会社や不動産会社と協議しながら建築を進め、ガレージハウスが完成したら経営を始められます。
ガレージハウス経営の注意点
ガレージハウス経営を始める際の注意点を以下で解説します。
用途制限
都市計画法で定められた都市計画区域として指定されたエリアは、市街化区域と市街化調整区域に分けられます。
市街化区域には、「用途地域」という住居用・商業用・工業用など用途に応じて分けられた13種類のエリアがあり、用途地域ごとに建築できる建物の種類や大きさが決められています。所有する土地が市街化区域である場合、住居が建てられるエリアでなければ建築することはできません。また、住居が建てられるエリアであっても、建物の容積率や建ぺい率があらかじめ定められているため、その内容に準じて建てる必要があります。
一方、市街化調整区域とは、人が暮らす街づくりを予定していない地域のことで、ほとんど開発が行われないため住居を建てにくいエリアです。そのため、市街化調整区域では、開発許可もしくは建築許可が下りなければ原則として建物を建てることはできません。所有する土地が市街化調整区域にある場合は、基本的に建物のない土地活用を選ぶ必要があり、ガレージハウスは建てられないと判断したほうがよいでしょう。
●市街化調整区域における建築許可に関する記事は
こちら
税金について
床面積が50㎡以上280㎡以下の新築一戸建ては、新築後3年間、建物の固定資産税額が1/2に減額されます。※1 ただし、減額対象となるのは居住部分の120㎡相当分までです。120㎡を超える部分は減額対象とならず、1階部分に数台分の駐車スペースを広く確保するガレージハウスは、床面積が大きくなりがちであるため注意が必要です。
なお、住宅用地の固定資産税については、税負担を軽減するための課税標準の特例措置が設けられています。自治体のホームページで調べておきましょう。
土地活用なら駐車場経営もおすすめ
ガレージハウス経営とは異なる土地活用の方法として、駐車場経営のほうが効率よく運用できる場合があります。以下では、ガレージハウス経営と比較した際の駐車場経営の利点について解説していきます。
駐車場は用途制限があっても運営可能
所有している土地が市街化調整区域である場合はもちろん、市街化区域であっても、用途制限によってイメージしているガレージハウスが建てられない恐れもあります。ですが、用途制限にかかる場合でも、駐車場経営であれば問題なく土地活用ができるでしょう。
駐車場は車を持つ人が利用するので、ガレージハウスと同様に駅から遠くても立地によっては需要が見込めます。繁華街はもちろん、住宅街でも路上駐車を避けてコインパーキングを利用する人は存在するでしょう。周辺に競合が多くない場所ならニーズも期待でき、時間単位で料金を支払うコインパーキングは月極駐車場に比べて、気軽に幅広く使ってもらえるのがメリットです。
駐車場経営は低コストで手間が少ない
駐車場経営は建物を建てる必要がなく、初期費用が少ない一方で、ガレージハウスの場合は建築費が高くなりやすい傾向にあります。
一括借り上げ方式で駐車場経営を行う場合、初期費用や運営費用といったコストが不要です。また、ガレージハウスのデメリットであるクレームへの対処についても、一括借り上げ方式での駐車場経営では運営・管理を駐車場運営会社に委託するのでトラブル対応でストレスを受けることもありません。
駐車場経営は転用がしやすい
駐車場は土地の転用が簡単で、貸主の望むタイミングで解約できる点が魅力です。
ガレージハウスは、車庫と住居の両方を用意する必要があり、ほかの土地活用に転用するためには解体が伴う建て替え工事をしなければなりません。また、ガレージハウスを希望する人は限定されるため、借主が見つからない場合は物件を持て余してしまうでしょう。ガレージハウス経営よりほかの土地活用のほうがよいと途中で判断しても、家を貸し出している期間中は借主との間には賃貸借契約があるので、貸主から一方的に解約を解除することはできません。
土地活用のお悩みは、駐車場経営の三井のリパークへ
ここまで、ガレージハウス経営について解説してきました。ガレージハウスは車やバイクを持つ人からの需要がありますが、建築費の高さや騒音問題、用途制限など、いくつかのリスクも伴います。
土地活用にお悩みの方なら駐車場経営がおすすめです。土地を駐車場運営会社に貸し出す一括借り上げ方式なら、低コストで安定した賃料が得られます。また、駐車場の運営を専門業者に依頼すれば、専門的な知識がなくても駐車場経営が始められます。
三井のリパークでは、一括借り上げ方式によって駐車場経営をサポートします。駐車場経営に必要な設備の導入、設置費用など全て負担いたします。※2 豊富な実績をもとにオーナーさまをサポートし、運営管理にかかる業務を全て代行しておりますので、土地活用にお悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。
●三井のリパークの土地活用に関するお問い合わせ・ご相談は
こちら
※1 2026(令和8)年3月31日までに新築された住宅に限ります。
※2 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。