機械式駐車場とは
機械式駐車場とは、機械装置を利用して車を出し入れする立体構造の駐車場を指します。
具体的には、車を専用のパレット(台)に載せ、エレベーターやコンベヤーなどの機械装置を使って所定の位置に移動させる仕組みです。複数階を重ねた立体構造になっているので、限られた敷地内に多くの車を駐車できます。そのため、スペースを確保しにくい都市部の商業施設やマンションで採用されることがよくあります。
機械式駐車場は、構造や外見の違いで種類が異なります。それぞれの種類について、以下で詳しく解説します。
機械式駐車場の種類
機械式駐車場の種類は主に以下の5つが挙げられます。
・地上二段式
・ピット二段式(ピット式)
・昇降横行式(パズル式)
・垂直循環方式
・エレベーター方式
各機械式駐車場のメリットと注意点は以下の通りです。
機械式駐車場の種類 |
メリット |
注意点 |
地上二段式 |
シンプルな構造でコストが低い |
上段の車を出すときは、下段の車を出す必要がある |
ピット二段式(ピット式) |
周囲の景観に影響しにくい |
地下に収納されている車両は浸水に注意 |
昇降横行式(パズル式) |
格納位置に関係なく入出庫できる |
車の格納位置によっては入出庫時に時間がかかる |
垂直循環方式 |
エレベーター方式に比べ、不具合の発生が少ない |
音や振動が騒音被害になることがある |
エレベーター方式 |
高い収容効率を持ち、迅速な出し入れが可能 |
導入には高い建設費用がかかる |
機械式駐車場の種類について、以下で詳しく解説していきます。
地上二段式
地上二段式とは、地上に二段の駐車スペースが設けられ、上段と下段それぞれに車を収容できる方式をいいます。車を載せるパレットを昇降させて車を入出庫する仕組みで、機械式駐車場のなかでは最もシンプルな構造です。
地上二段式駐車場は比較的シンプルな構造であるため、建設費用やメンテナンスコストが抑えられるという特徴があります。しかし、地上二段式は、上段部分の車を出し入れする際に、下段の車を動かす必要があるため、少し手間がかかります。
ピット二段式(ピット式)
ピット二段式とは、上記の地上二段式と同様、上下に駐車スペースがある駐車場で、下段は地下に設けたピット(掘り込み)に収める点が異なります。
上下どちらの車も動かさずに車を出し入れできる点や、平置き駐車場のように周囲の景観に影響しにくい点がメリットです。しかし、ピット二段式駐車場のうち地下に収納される車両は、大雨による浸水被害に注意する必要があります。
昇降横行式(パズル式)
昇降横行式とは、パレットが上下左右に動き、パズルのように車を入出庫する特徴から「パズル式」とも呼ばれます。
昇降横行式駐車場は、縦だけでなく横にも車を格納できるため、より多くの車両を収納できるメリットがあります。しかし、パレットをパズルのように動かすため、車の格納位置によっては入出庫に時間がかかる点はデメリットです。
垂直循環方式
垂直循環方式とは、車両を垂直方向に循環させる多段式の駐車システムをいいます。利用者が車をパレットに載せると、チェーンやベルトによって観覧車のように上下に循環する仕組みが特徴です。通常1階部分に出入り口が設けられており、入出庫はそこから行います。
さらに垂直循環方式は、後述するエレベーター方式に比べて構造が簡易的なため、不具合の発生が少ないのがメリットです。ただし、機械が作動する際の音や振動が騒音となり、クレームに発展する恐れもあります。
エレベーター方式
エレベーター方式は、エレベーターを利用して車両を垂直方向に移動させる方式です。利用者が車を入り口に停め、専用のパレットに車両を乗せると、エレベーターが作動し、所定の階へ移動させます。車両が所定の階に到達すると、横方向に移動させ、指定された駐車スペースに収容される仕組みです。
エレベーター方式は高い収容効率を持ち、迅速な出し入れが可能なだけではなく、安全性も高いといわれます。しかし、高い建設費用がかかることには注意が必要です。
機械式駐車場のメリット
マンションや商業施設のオーナーのなかには、機械式駐車場の導入を検討している方も多いでしょう。ここでは、機械式駐車場の主なメリットを3つご紹介します。
・狭いスペースでも駐車台数を確保できる
・いたずらや盗難を防止できる
・車が汚れにくく、劣化を防げる
それぞれについて詳しく解説します。
狭いスペースでも駐車台数を確保できる
機械式駐車場は、限られた狭いスペースでも多くの駐車区画を設けることが可能です。そのため、大都市圏のマンションや商業施設などでは、機械式駐車場を設置することで、効率的な土地活用ができるでしょう。
車の入出庫は操作盤で行い、各パレットに駐車します。狭いスペースであっても、平面駐車場のように隣の車と接触する心配がないため、利用者同士のトラブルを防げます。こうした点は、オーナーにとっても安心でしょう。
いたずらや盗難を防止できる
機械式駐車場では、車両がパレットに収容されることで、外部からの物理的接触が制限されます。その結果、いたずらや盗難などのリスクが大幅に減少します。利用者だけでなく、駐車場を経営する側にとっても、盗難被害が減ることは大きなメリットになるでしょう。
車が汚れにくく、劣化を防げる
機械式駐車場では、車が汚れにくく、劣化を防げるというメリットもあります。一般的に、車両は各階のパレットに収容され、最上階以外は屋根のあるスペースに保管されます。そのため、雨や風、雪、ほこりなどから車両を保護できます。
また、屋内に収納するタイプの機械式駐車場なら、都市部に多い排気ガスや工事現場の粉塵などの影響も抑えられるでしょう。さらに、機械式駐車場は、紫外線による塗装や内装の劣化も防げるため、車が長持ちします。紫外線は車の塗装やプラスチック部品を劣化させる原因となりますが、屋根付きの駐車スペースではそのリスクを低減できます。
機械式駐車場のデメリット
ここでは、機械式駐車場のデメリットについてご紹介します。主な内容は以下の3つが挙げられます。
・災害時のトラブルや機械の故障
・機械による事故
・利用や管理の制限がある
それぞれのリスクについて詳しく解説していきます。
災害時のトラブルや機械の故障
機械式駐車場では機械装置を利用しているため、地震や台風などの自然災害によって機械が正常に動作しなくなることがあります。たとえば災害による停電が発生した場合、機械が停止して、車をすぐに取り出せないといったトラブルが発生することもあるでしょう。また、大規模な地震では機械が損壊したり、構造材が落ちてきたりして車を傷付ける恐れもあります。
災害時でなくとも、機械式駐車場は多くの可動部品やセンサーを使用しており、これらが故障するとシステム全体の運用に影響することがあります。そのため、機械式駐車場では、定期的なメンテナンスを行わなければなりません。機械式駐車場の維持管理にはコストがかかる傾向があるため、注意が必要です。
機械による事故
機械式駐車場では、機械の誤作動による事故発生の恐れがあります。たとえば、車両が挟まれたり、落ちたりすることも想定されるでしょう。また、作動中に小さな子どもが接触することで機械に巻き込まれたり、挟まれたりすることもあります。あらかじめ事故を防げるようなセンサーや警報装置などを取り付けるなどの対策を行い、事故のリスクに備えましょう。
利用や管理の制限がある
機械式駐車場を利用する際には、さまざまな制限があります。たとえば、入出庫に時間がかかったり、停められる車両サイズが規定されていたりすることが挙げられます。特に車両サイズが守られない場合、事故のリスクが高まるため、利用時には車両サイズを確認する必要があるでしょう。
さらに、機械式駐車場を管理、運用する場合は、管理責任者を選任しなければなりません。国土交通省によるガイドラインには、利用者に正しい操作方法を伝え、不特定多数の人が利用する駐車場では専任の取扱者が操作をするよう記載があります。機械式駐車場の規模によっては、有人管理のための人件費がかかる可能性もあるので注意しましょう。
機械式駐車場の管理運営なら三井のリパークへ!
今回の記事では、機械式駐車場について解説しました。機械式駐車場は土地が限られている都市部でも効率的に駐車スペースを確保できる反面、デメリットもあります。商業施設に機械式駐車場の導入を検討している方は、メリットもデメリットも正しく理解して運営することが大切です。
三井のリパークでは、機械式駐車場の運営サポートを行っています。駐車場の運営・管理のほか、トラブル対応も行っているので、機械の損傷や災害による故障などが起きた際も対応を任せられます。また、一括借り上げ方式での運営であれば、利用状況にかかわらず毎月一定の賃料が支払われるため安心です。(※1)既に機械式駐車場を運営しており、コスト削減や運営の効率化を検討している方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。